CONTENTS

第一部   山中温泉界隈の伝承ばなし

 

一話    山中菊の湯

二話    こほろぎばし

三話    九谷焼

四話    北陸の漆器

五話    汁は漆器

六話    加賀の菊酒

七話    芭蕉と実盛そして木曾義仲

八話    御当地ソングライター芭蕉の失錯

九話    大坊主とボス 

十話    絵解き説法 

十一話  千里浜 

十二話  北陸の宝塚 

十三話  越中の景観 

十四話  武生と紫式部 

十五話  式部その後 

十六話  紅葉と黄葉 

十七話  兼六園・江戸町 

十八話  白山合ハイ 

十九話  白山信仰 

二十話  吉崎御坊と蓮如  

第六話 加賀の菊酒

 

菊は長寿の麗花との中国道教由来の説話は、芭蕉の山中温泉を讃える句にも引用されているが、「加賀の菊酒」と称された鶴来の銘酒は室町時代より広く関西・中国に迄知られていた。

菊酒の菊は白山比メ神社の祭神である菊理媛尊の名から採られたとする説もあるが、その昔手取川上流白山麓に菊の群生地があり、菊の露が清冽なる伏流水となり鶴来町の井戸水に湧出したことから名付けられたという。酒造りに水の大切さは言うまでもなく、加賀の菊酒が銘酒たる由縁である。菊酒の本家争いは種々噂されるが、どうやら「菊姫」の醸造元である菊姫合資会社が正統であるらしい。鶴来町新町に酒蔵がある。

 

 

第九話大坊主とボス 

加賀の一向一揆は「百姓の持ちたる国」と称されたるものの、内実は本願寺教団の大坊主が支配した。欧米に於ける顔役や支配者を「ボス」と呼ぶ語源は、此の日本の中世に於ける大坊主を、来日中の宣教師が故国に紹介した文より起きたと言われる。 

本願寺八世法主蓮如は、一向一揆の火付けの張本人であったが、加賀の一向一揆の余りにもの暴走振りに「お叱りの御文」とやらを、大坊主たちに送りつけたことからみても、大坊主達の横暴さが窺い知れるものである。 

 

(弥)大坊主が英語のBoss に転化したとはにわかには信じがたいが、高校の歴史の時間に聞いたような気がします。蓮如の「お叱りの御文」は真筆が金沢の専光寺に大切に保管されているという。