山中温泉
伝承と方言
「山中温泉界隈の伝承ばなしと山中ことば古典三大随筆」
山中温泉界隈の伝承ばなしと地元の方言(山中弁)に光をあててみました。地元の歴史と古典三大随筆が案内する、ちょっと珍しい世界への誘いです。
読本を読んでみたいとお思いの方へ
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風光明媚な山中温泉
なかでも有名なこほろぎばしと鶴仙渓をご覧下さい。
伝承ばなしの舞台としても登場します。
紅葉のこほろぎばし
鶴仙渓のせせらぎ
伝承ばなしを知り、地元の歴史に親しむ
(第一部)地元でもあまり知られていない山中温泉界隈の「言い伝え」(伝承)的なはなしを二十ばかり採録しました。わたしの亡くなった父が書き遺したもので、「言い伝え」に父の考えを加味したものです。
方言訳(山中弁)で古典三大随筆を読む
(第二部) いちどは目にしたことがある古典随筆を山中温泉地方で話されている方言、いわゆる山中弁に訳しました。親しみにくいといわれる古典と方言ですが、ぐっと身近に感じることが出来ます。
伝承ばなし 第1話
俳聖芭蕉が奥の細道の旅の途中、元禄2年秋に山中温泉に寄り8日間も宿泊した。名湯に痛く感じ「山中や 菊は手折らじ 湯の匂い」という名句を残した。昔、魏の慈童は菊の精露を飲んで長寿を保ったが、山中の湯はそれ以上と讃えたので「菊の湯」という。
(弥のコンメント)山中温泉が菊の湯と言われるのは広く知られている。
だがそのネーミングの由来を知る人は少ない。魏慈童の故事来歴を憶えておきたいものである。
方言訳序章 枕草子一段秋
秋は夕暮れやぞいね。
お日様が、山の端にちょっこし残っとって、
そこに烏がンね、寝ぐらにやろか、
帰ろうとしてえ、三羽四羽、二羽三羽と
がっぱになって飛んでいく景色なんか
ええもんやわね。
雁がつんだって飛んで行くがが小そうに
見えるがも、趣(おもむき)満点やがいね。
日が落ちてしもうてからの風の音、虫の鳴き声なんかはどういうたらええんかね、いやいやなんにもいわんとこさ。
伝承ばなし
第2話 こほろぎばし
今は有名になった山中温泉こほろぎばし(蟋蟀橋)も、昔は附近は深山幽谷で狐が鳴く淋しいところであったという。道も険しかったところから「行路危」(こおろぎ)と呼ばれていたのが美称に転じて「蟋蟀」と言われる元となったといわれている。
方言訳
序章 徒然草 冒頭文(つれづれなるままに・・)
なんもすることがねーとあいそみねーし、
一日ず~とぉ硯に向こうて
心の中に浮かんでは消えてってしもう
どーでもえーことを
あてものう書きつけたりしとると
思わんと熱が入ってきて
気がおかしゅうなってまうような気分に
なるんや
編集の理念
どの地方・地域にも長い間根付いてきた伝承と方言があるものですが、大都市への人の移動 などで、もう忘れ去られようとしているようです。本書は筆者のふるさと山中温泉の伝承と 方言を知っていただき、その特質といったものに触れていただければと編んだものです。そ れが伝承・方言といった無形の文化遺産を見直すことにもなればと願っています。
本の構成と著者略歴
第一部には、地元でもあまり知られていない山中温泉界隈の「言い伝え」(伝承)的なはなしを二十ばかり採録しました。わたしの亡くなった父が書き遺したもので、「言い伝え」に父の考えを加味したものです。父はこれらを「伝承」ではなく「うんちく(蘊蓄)」と呼んでいました。正確には「伝承」とは言えないかもしれませんが、より興味深く見ていただけるのではないでしょうか。
第二部は、一度は聞いたことがある古典随筆を山中温泉地方で話されている方言、いわゆる山中弁(山中ことば)に訳したものです。もともと古典と方言はなじまないものとされてきました。古典は「書き言葉」、方言は「話し言葉」のため親和性がないのです。そのせいもあってか古典の方言訳はほとんど先例がないのですが、古典、方言をより身近に感じていただこうと試みました。結果はどうでしょうか。
著者略歴
池上弥 (1946~)
石川県加賀市山中温泉出身 、早稲田大学理工学部卒業
日揮(株)ほかに勤務 専門はProject Management
池上宏(1919~2009)
東京都代々木出身 東京青山鳩森小学校、大聖寺中学校(中退)
石川県江沼郡山中温泉に居住 大同工業(株)元製造部長